« 2013年4月 | トップページ

2013年5月

2013年5月 9日 (木)

『テキサス・チェーンソー3D』a.k.a. 日本では7月13日に公開が決定した『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』(なんと!これが劇場公開時の邦題ね!)の海外盤Blu-ray&DVDが北米で5月14日にリリースされる。っつうことで英語版サンプルを海外からお借りして先に拝見したったの巻。

06582edc

先に述べておかねばならないんだけど、今年の1月に全米で封切られる前までは異常にテンションが高かった。ポスターヴィジュアルとトレーラーだけで興奮させられたからだ。ほんで、いざ封切られたら、低予算映画ではあるもののホラー映画ならではなアメリカンドリームが実現! 全米初登場1位となり、その理由はミュージシャンのトレイ・ソングス目当てで若者が劇場へ足を運んだだけ……というなんとも微妙な空気が醸し出される結果となった。バスタ・ライムスが『ハロウィン レザレクション』に出演した時と同じデジャヴュを感じてしまったのは吉田だけか!?

20130113_2366236

結局、作品の内容に関しては若者(そりゃ40年ぐらい前の映画を愛好するティーンエイジャーはいないだろうし、さらにその続編を彼らは別に望んでいたわけじゃないし)が支えてくれて全米1位になったのは結果論であり、それはそれでキャスティングに成功したってわけだからアリだと思う。映画ってさ、話題作りが大事なんだよね。メディアに取り扱ってもらうために試行錯誤しなくてはならない。日本だって芸人さんや様々なタレントさんたちを起用して、洋画の宣伝隊長とかやらせるのもその理由の1つだしさ。

560444_10151101397075735_1417603097

さて、空輸されてきた『テキサス・チェーンソー3D』チェックディスクのBlu-rayは、実は随分前に完成しており(作品自体は2011年に完成していた)、最近の主流なのか映画製作と同時進行でBlu-ray&DVDも作られていたとのこと。とりあえずパッケージ版は北米で5月14日に発売されてしまうので、借りているチェックディスクを今度はこちらから海外発送で返却せねばならんので、前評判の悪さが懸念材料であったが慌てて恐る恐る鑑賞。

Photo__000242

物語の全容は全米公開前から発表されていたので驚きは全くなかった。が、冒頭でオリジナル版『悪魔のいけにえ』のフッテージを使用し、殺戮モンタージュ映像を見せてくれるところで中年オヤジの吉田のような輩は心を鷲掴みにされてしまった。さらに凄いのはオリジナル版に存在していた白い家を新たに建てて再現しているところ。マリリン・バーンズ扮するサリーだけが生き残り、保安官への通報により事態は一変。数多くの自警団まで現れて、あの白い家は火炎瓶とライフルを手にした連中により完全包囲されてしまう。ちなみに映画はオリジナル版『悪魔のいけにえ』のエンディングから僅か1時間後より始まる。

Photo__000241
Photo__000244

保安官が現場へ急行するシーンで、サリーを助けるべくスパナを投げてレザーフェイスと戦った勇者の太っちょ黒人が運転していた大型トレーラー”ブラックマリア号”が停車している脇を通っていくシーンもオリジナル版リスペクト臭があったし(良く見ると若干荷台の形状が違う)、あの白い家や庭をほぼ完全再現していたことに感動すら覚える。もちろん鉄の扉も再現されていたのでご安心あれ。うーむ、プロダクション・デザインを担当した人の手腕はさすがとしか言い様がない。

Photo__000231
Photo__000226
Photo__000222
Photo__000228
Photo__000223
Photo__000236

レザーフェイスの父親役をビル・モーズリィーが演じているのも『悪魔のいけにえ2』からの系譜だったりするけど、本作はオリジナル版から枝分かれした形のもう1つの『悪魔のいけにえ2』でもあるから、マイケル・ベイが製作したリメイク版とも違うし、新たなるフランチャイズとの認識が必要。結局、自警団にカチコミされて白い家は銃弾の雨あられ。モーズリィーが応戦する姿を見ていると『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』を彷彿。サリーが逃げられてしまったことで保安官連中がカチコミ来ることを想定していたのか、ソーヤー家(レザーフェイス一家のことね)には近所の親族連中も集まっていたんだけど、最終的に皆殺しにされてしまったところから、本作は改めてオープニングとなる。

Photo__000216_2

今回の『悪魔のいけにえ』フランチャイズ最新作は、MPAAとの兼ね合いもあってか随分とゴアシーンを削り(レザーフェイスに殺される者は4人)、ドラマに重点を置いたスタンスだからか恐怖描写の演出にパンチは少ない。簡単に説明するとホラー映画に必要な”タメ”のシーンが圧倒的に少ないのね。ドラマパートが多いから仕方ないのかもね。年老いた脳味噌8歳児のレザーフェイスが登場するファーストコンタクトなシーンにインパクトもなかったし、遊園地へチェーンソー持参で乱入するも、大虐殺が始まるかと思いきや、誰も殺さなかったりするところに少々肩透かしを食らった残念な部分は否めない。

Photo__000253
Photo__000252
Photo__000251
Photo__000250
スマートフォンが登場するので、テキサス・チェーンソー大虐殺事件から20年後が舞台(日本語字幕がないんで果たして20年後で合っているか不安)っつうのはちょっと無理があったかな。だって1990年代にスマフォなんてないし、まぁパラレルな話って考えれば気にはならないけど、オリジナル版『悪魔のいけにえ』は生涯のベストワンに選ぶ以前に、”好きで当然””ベストワンに選ぶまでもなく最高傑作なので当たり前”な考えを抱いているから、どうしても細かい重箱の隅を突っついてしまう。

Photo__000247
Photo__000248
Photo__000249
ライオンズゲートが配給だからか、『ソウ』vs『悪魔のいけにえ』が実現したシーンに一番大笑いできたので、ホラー映画ファンであればここは見逃せない部分。あ、そうそう。本作で脚本を担当したアダム・マーカスは『13日の金曜日 ジェイソンの命日』の脚本・監督も務めているんで、ドラマ性に趣を置いているのも理解できるでしょ?

Photo__000256
Photo__000255
Photo__000254

と、なんだかんだ言いたいことを述べてしまったが、『テキサス・チェーンソー3D』は面白かったです。『悪いけ』愛が強すぎるゆえのうるさい中年オヤジの小言だと思ってください。劇場で3Dで早く観たいところ。あざとい3D描写演出が、まるで『13日の金曜日パート3』みたいで笑えるんで映画館で観たい。

Photo__000258
Photo__000257

そういや、早くも『悪魔のいけにえ』フランチャイズが本作のヒットを受けてスタートした様子。製作スタジオのミレニアム・フィルムズは続編として『テキサス・チェーンソー4』を2013年内にルイジアナ州で撮影入るとリリース。気になるのがトビー・フーパー御大(a.k.a. タブ・フーパー)がプロデューサーを務めるところか。監督やキャストは一新されるらしいけど、本作同様KNBエフェクツの面々は再び特殊メイクで参加するみたい。

Texas_chinsaw_coverthumb451xauto215

最後にBlu-rayの特典等の仕様に付いて説明しときます。プロデューサーとトビー・フーパーのオーディオコメンタリーとビル・モーズリィー、ガンナー・ハンセン、マリリン・バーンズ、ジョン・ドゥガンのオーディオコメンタリーが2種類収録。『テキサス・チェーンソー・レガシー』なる40年をトビー・フーパーと振り返る映像。『レザレクション・ザ・ソウ』なる本作に関わった人たちなどがドヤ顔で語り尽くす映像。個人的に一番興味惹かれた『ジ・オールド・ホームステッド』というプロダクション・デザイナーが白いソーヤー家を忠実に再現するまでを描いたメイキング。他、レザーフェイス役のダン・イェーガーが如何にしてレザーフェイスになっていったのかを追った映像やら、ロバート・カーツマンたちの特殊メイク舞台裏など、結構盛り沢山な特典だらけなんで、日本で発売する際も是非全て収録してもらいたいですな。

Vn2013041900101_g00

映画『飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』は、7月13日より、TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開とのこと。楽しみだなぁ。やっぱ夏はホラーっしょ。エンドクレジット後に笑えるギャグリールの映像が用意されてるんで、最後まで座席を立たないように!

Photo__000246

本当に残念だったのはアレクサンドラ・ダダリオがこんな姿にされているのに、オッパイが、というか乳首がシャツの間から露出されていなかった点。変態なんでスミマセン。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2013年5月 8日 (水)

全盲の視覚障害者、加藤君が映画監督を目指すまでの足跡を追ったトキュメンタリー『INNERVISION』がとても興味深かった件。

友人で俳優の山本修司氏から薦められて鑑賞した『INNERVISION』。予備知識もなく、何が始まるかと思いながら観たのだが、言葉の端々に何かが突き刺さるような不思議なドキュメンタリーであった。
作品自体は、生まれながらの全盲というハンディキャップを負った視覚障害者、加藤秀幸(劇中では「加藤君」と佐々木誠監督から呼ばれている主役)が自身でSFアクション映画を撮るまでに密着した内容で、尺も45分と短いことから地上波1時間番組で使えそうな丁度良い長さ。

Photo__000209

身長185cmの巨漢体型な加藤君は、本編が始まった瞬間から、ただならぬ雰囲気を醸し出す。タバコをくゆらせながらサバイバルゲームに勤しむ様子から察すると、まさか彼が全盲の障害者だとは思わないだろう。ファーストコンタクトのオープニングシーンからでは予備知識なく観たことから主人公のビハインドな部分は全く掴めなかったわけ。

20130502_innervision2_v

ドキュメンタリーって基本、ゴールが見えない状態だったり、オチもなく展開することも多いが、『INNERVISION』は”全盲の視覚障害者が果たしてSFアクション映画を撮ることができるのだろうか?”が大きな柱になったコンセプトであり、自ずと制作過程を追いながら果たして本当に映画が完成するのだろうか……そんなゴールへ向かっていく視覚障害者の方々であれば間違いなく勇気づけられるインディー映画だったりする。

20130502_innervision_v

当然、外の世界を見たこと……いや、見たくても見えないないからこそ、健常者が見えることが当たり前な世界は異世界でもあるよなぁと。劇中で「美人ってなに? 誰がその顔が美しいって決めたの?」やら、「3Dというよりも、まず2Dがわからない」と加藤君はカメラを回している佐々木監督へ向かって説明する。それは観客側から俯瞰で察してしまうと、加藤君が如何にして常に暗闇の世界しか味わったことのない人生だったんだなぁと痛烈に実感してしまった瞬間。

20130502_innervision3_v

度肝抜かされたのは、PS3で『スーパーストリートファイターⅣ』をプレイする加藤君の姿。目が見えない彼は友人と対戦し、しっかり勝っていたシーンに驚いてしまった。マイキャラはケンで、波動拳を最初に放った後に相手との距離がどれぐらい離れているかを見極めるそうな。なるほど、と納得。

45分と短いのでこれ以上書いてしまうと全容が分かりすぎてしまうので敢えて伏せておくが、山本清史監督やDJのロバート・ハリスが登場するのも興味深い。山本監督の最後のセリフがクリエイティブな仕事をしている者にとって胸に刺さる一言だったなぁ。ハリスさんは声が渋く、カッコ良過ぎる。なぜ登場するかは本編を観て確認するべし。

『INNERVISION』は45分で完結するドキュメンタリーではない。あまりにも短すぎる。恐らくこれは序章に過ぎないのだろう。が、ヒットしないと加藤君がキチンとSFアクション映画が撮れるのかどうか、尻切れトンボでその後を知ることが出来ないんで、なんとかヒットしてもらいたいところ。

20130502_innervision4_v

そういえばジョルダンという大昔、日本物産から仕事を請けてアーケードゲームで『クレイジー・クライマー』の開発をしたデベロッパーがあるのだけど(各鉄道関係の時刻表やら乗換案内とかを作っている有名な会社だから知ってる人多いかな)、こちらに勤めている天才プログラマーで視覚障害者の方がいるそうな。その人は目が見えない=リアルブラインドタッチでプログラムをタイピングしていく凄腕を持っているそうで、数々のゲームを作っていたそうな。ジョルダンに在籍している天才プログラマーを『INNERVISION』観て思い出してしまったよ。『クレイジー・クライマー』のネームエントリーでジョーダンエルティーディー(敢えてカタカナにしときます)と入力するとクレジットが2つほど追加されたので(100円×2)、エンドレスにゲームセンターで遊べたことも同時に思い出したゲーム脳。Wiiで『女番長レナ Wii』というトンデモ系ゲームを発売していた会社だったりします。コンシューマー業界が低迷する直前にビデオゲーム関連は撤退しちゃいましたが(^^;


Photo__000211

ちなみに本作を撮った佐々木誠監督は、ゲーム『バイオハザード』シリーズのメイキングを作ったりしている方でありまする。

Photo__000212

Photo__000213

毎晩上映と同時にトークイベントもやってますよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年4月 | トップページ